LEDの発光原理
LED (Light Emitting Diode)はダイオードの一種です。 
ダイオードというのは半導体の一種で、動作原理は少々難しくなりますが簡単に説明します。
 半導体には電子の数が少ない(正孔という) P型と、電子が多い N型の2種類があり、通常の導体と不導体とは違った特性を持っています。 P型半導体は、正孔が電荷を運びます。 正孔は電子が存在しない空席ですが、 あたかもプラスの電気を持った電子のように動きます。 N型半導体は、電子が電荷を運びます。
 ダイオードは P型半導体と N型半導体を接合したものです。
 ダイオードのP型半導体に+、N型半導体に−の電圧をかけますと、電子と正孔は接合面に向かって動き始めます。 電子はP型領域に入り込み、正孔はN型領域に流れ込み、互いに合体して消滅します。 電子と正孔は絶えず電源側から供給されますから電子や正孔が動き続け、電流が流れ続けます。
 このような接続を順方向の接続といいます。
 ダイオードのP型半導体に−、N型半導体に+の電圧をかけた場合、電子はプラス極、正孔はマイナス極に向かって動き始めます。 しかし電子や正孔が電極付近にたどりついてしまうと、あとは目立った動きはなくなります。 このような接続を逆方向の接続といい、逆方向に接続すると、電流は流れません。
 このような動作によって 一方向にのみ電流を流す性質、これをダイオードの「整流作用」 といいます。
 LEDもダイオードの一種ですから、通常のダイオードと同じ性質を持っています。 順方向の接続のとき、接合面近辺で正孔と電子が消滅するときにエネルギーを光に変えて放出するよう N型とP型の組成を改良したダイオードで、出てくる光の色調もその組成によって変わります。 実際の構造は左図のようになっており、N型・P型層は極めて薄くなっています。
従来の電球や蛍光灯のように熱や放電によって発光するのではありませんから消費電力は極めて少なく、大電流を流さなければ発熱も微少です。
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LEDを使用するときの注意点
LEDは半導体ですから、これまで照明に使われていた電球と違って使うときにいくつかの相違点があります。
 まず、お使いになるLEDの規格表を見てください。 詳細に書かれているはずですが 特に注意したいのが順方向電圧(DC Foward Voltage) と順方向電流 (DC Foward Current)、それに逆方向電圧 (Reverse Voltage) です。
 順方向電圧以下の電圧では発光しません。 通常 3V〜4Vです。 乾電池1個では点灯できないのはこのためです。 順方向電流はダイオードに流せる電流です。 これより大きいと破損したり、発光能率が極端に悪くなります。 ダイオードですから逆方向に電圧をかけすぎても破損します。これが逆方向電圧です。
また、半田付け等で長時間高温な状態にすると発光能率は極端に低下します。  リードをペンチ等で挟んで放熱する等の処置が必要です。
注意点のまとめ
★ 順方向電圧以下では発光しない
★ 順方向電流以上の電流で破損する
★ 逆方向電圧以上で破損する
★ 長時間高温をかけると光量が低下・破損する
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LEDの種類と特長
LEDは大きく分けると その形状でランプ型とチップ型に分かれます。

5Φと3ΦのLED  LEDの創世記から作られてきた形状で、先端の円筒部が3mm、5mm、大きなものでは10mmのものもあります。
 リード線の長い方がアノード(陽極+)で取り付けのときに判りやすくなっています。 樹脂が着色されたものもありますが透明なものでも発光色は赤や青など、ダイオードの組成によって色が決まります。
LEDの極性  リード部分が切断されたものはランプの円筒部の切り欠きで極性の判別ができます。 平面に切られている方がカソード(陰極−)で、注意して見れば判別できます。

 ランプ型はその形状から発光面がレンズになっています。
また 発光部分に反射鏡を備えたものもあり、正面方向だけに効率よく光を放出する構造になっています。 したがって、看板の平面照明などに用いると明るさのムラが出やすくなります。このような場合はレンズ面にキャップなどを取り付け光を拡散させる方法が用いられますが、拡散により正面の照度は低くなります。 逆に文字の形に LEDを並べるような場合、指向性の鋭いものを用いれば一方向だけに明るく見える表示器を作ることができます。(明るさを感じる角度が狭いので、取り付け角度を合わせるのが重要です)

 チップ型は基板に半田付けして用いられます。 大きなものから小さなものまで種類は豊富です。 樹脂レンズの部分がないので、軽くて広範囲に光を拡散させます。 チップの縦横を10倍した数値をそのまま使って、3020シリーズとか 2012シリーズ、1608シリーズと呼んで区別します。

 小さなものは携帯の照明や液晶のバックライト、大きなものは大型ディスプレーのバックライトなどに用いられています。
照度のムラが出ないようチップの間隔、照射スクリーンなどとの距離を調整すれば ほぼ均一な照明が得られます。
 裏面から放熱が出来るのもチップ型の特長で、照明器具などに使う発熱の大きなものは裏面に放熱フィンを取り付けて発光部の劣化を防いでいます。

 
発光色について
 以前は波長が長い赤色系のものが主流でしたが、青色のダイオードが開発されて さまざまな色のものが市販されるようになりました。 素子の組成によって色が決定されるのですが、発光部の上に蛍光体の層を作り、発光色と蛍光体とで合成された色を出すものもあります。
例えば白色は 青色ダイオードに黄色の蛍光体を用いて発光する時には白色になるように作られています。
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どうやって配線すれば良いか
 電源は順方向電圧以上のものが必要です。 また、順方向電流以上で破損しますから、抵抗を直列につないだり、定電流ダイオードを用いて 電流が流れ過ぎないようにして使います。
 基本となるのはオームの法則です。 抵抗値もこの法則から計算して求めます。
オームの法則は電流を I 、電圧をE 、抵抗をRとした場合に
ですから、これはと同じになります。
LEDの場合は電源電圧からLED順方向電圧を減算します。
電流制限抵抗の計算式
電源に12V、順方向電圧 3.7VのLEDをつないで 20mAの電流を流したい場合は、(20mAは 0.02A ですから)
直列につなぐ場合は同じ種類のもので 複数のLEDを直列につないだ場合も同様に計算します。
左図のように順方向電圧 3.7VのLEDを3個の場合は、
LEDの直列つなぎ
 順方向電圧はダイオードの種類によって差が大きく、温度や流れる電流によっても変化することがあるので、実際には安全度をとって大きめの抵抗値を使い、回路を構成して電流を実測してから使う方が安全です。
電卓があれば簡単に計算できますが、
「それも面倒…」 と言われる方に
簡単な計算機を用意しました。
LEDの電流制限抵抗計算機
 看板制作部材としてLEDをソケットに装着し、結線されたものが市販されています。 種類にもよりますが、ソケット内部に電流制限抵抗が内蔵されているものは 指定されている電源電圧を加えるだけですぐに使えるようになっています。
 電源電圧が高いものは複数のLEDを直列につなぎユニットごとの電流を決めてありますから、流れる電流が少なくても数多くのLEDを点灯させることができます。 ユニットの個数に拘束される難点がありますが使う線材が細目のもので良いという利点があります。 低電圧のユニットは集合させると電流が大きくなり、配線材料も太目のものが必要になります。
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